「トマル君、落ち込んだ顔してどうしたの?」 「あ…キバヤシ先輩。いやぁ、さっき専務に呼び出せれたんですよ」 「あら、専務直々になんて珍しいわね。どんなお話しをしたの?」 「僕、先月の営業成績が社内一だったらしいんですよ。それで金一封を頂いて…」 「おめでとう。トマル君、すごく頑張ってたものね。それにしては浮かない顔して…何か嫌なこと言われたの?」 「いえ、逆なんですよ。今月も凄く期待されちゃって…。でも先月はたまたま運が良かっただけで、今月はまだ目標値にもとどいてないし…」 「大丈夫よ、トマル君。社内一は難しいかもしれないけど、貴方なりに頑張ればきっと専務もご理解して下さるわ。私も応援してる」 「そう言ってもらえると救われます。あ、金一封って○○ホテルのペアディナー券なんですけど、僕、誘う相手もいないし、キバヤシ先輩に差し上げますよ」 「ダメよ、それはトマル君が頑張ったご褒美なんだから。そうね…それじゃ今日は早く仕事を終えて一緒に行きましょう?お祝いしなくちゃね」 「え!?ご一緒してくれるんですか、キバヤシ先輩!嬉しいっす!!」 「フフ…。じゃあ7時にロビーで待ち合わせね」 「はい!ありがとうございます!キバヤシ先輩!」 いや〜、癒されますねぇ。これぞ癒し系って感じっすね。 こんな女性が職場に1人いるだけでヒキコモリ発生率もぐんと下がることでしょうね! 「トマル君、落ち込んだ顔してどうしたの?」 「あ…ナワヤ先輩。いやぁ、さっき専務に呼び出せれたんですよ」 「あそぉ、…で?」 「僕、先月の営業成績が社内一だったらしいんですよ。それで金一封を頂いて…」 「ふーん………金一封!?」 「いや金一封って言ってもたいしたもんじゃないんすけど。それより今月も凄く期待されちゃって…。でも先月はたまたま運が良かっただけで、今月はまだ目標値にも…」 「今月?あはは、無理!!で、金一封って何だったの!?」 「そんな身も蓋もない…。○○ホテルのペアディナー券です。でも、僕、誘う相手も…」 「いるわけないよね!そうそう、私、今月誕生日なのよ!」 「それは…ナワヤ先輩がご一緒してくれると言う意味ですか…?」 「ワハハハ!何故に私が?ねぇ、ウナギパイ、覚えてない?そうそう、先月のね、トマル君の誕生日くらいだったかな?…いやいや、皆には帰省のお土産だったけど、キミには誕生日プレゼントだったのよ。勿論、貰ったからにはお返しって必要よね。社会人たるもの人と人の繋がりってのはスゴク大事よね。彼女のいない人には全くもってムダなホテルのペアディナー券を貰える営業成績bPのトマル君ならごく一般常識的なお話しですもの。…あら、良いの?せっかくの金一封を私が頂いちゃって。ありがとう、有意義に私だけで使わせていただくわ。やっぱり成績優秀なトマル君はさすがよね。来月も金一封貰えるように頑張ってね。あ、来年のキミの誕生日プレゼント分は期待しててね。ウイロウに格上げしておくから!」 「はい…ありがとう…ございます…ナワヤ先輩…」 もう、何も語る必要は御座いませんね。 またココに1人、ヒキコモリ候補生が生まれただけです。 |